古紙再生の手順

古紙が生まれ変わるまで

    ポピー製紙でつくられる紙はすべて,「古紙」を主原料としています。「古紙」とは読んで字のまま,一度使われた「中古の紙」です。 雑誌や広告,OA用紙などいろいろな紙を集めて,その中からパルプ分をとりだして,きれいな紙に抄きなおすことで,ゴミだった「古紙」が「新しい紙」に生まれ変わります。

1. 原料

    古紙原料を集めてきたり,業者から買ってきたりします。ポピー製紙は,後述の「蒸解」の工程に「地球釜」を用いていますから,広告紙などのインクが大量についた紙も,比較的簡単に真っ白な紙に再生できます。

2. 蒸解

    この工程では通称「地球釜」と呼ばれる大きな鉄の球体からなる装置を使います。この地球釜で古紙に水を加え煮ることでカタチある紙をほぐし繊維にします。 なぜ「地球釜」と呼ばれるかというと,鉄の球体がゆっくり回転するからです。 この工程は10時間以上かかりますが,終わるころには紙は完全に水に溶けた状態,つまり紙の繊維の主成分である「セルロース」が水中に分散された状態になって出てきます。

3. 洗浄

    紙が繊維に戻ったといっても,古紙の時に使われていたインクなどが残っており,まだまだ汚れています。というのも紙の主成分である「セルロース」本来の色は白いからです。 これからゴミやインクなどを取り除かれた状態、つまり白くなるまでジャブジャブ洗ってあげなければなりません。 ここでは薬品も使ってきれいになるまで洗います。全工程で製品1t当たり100tの水を使っています。 昔から水が豊富なところで紙が作られることが多いのは,これらの工程でたくさんの水が必要になるからなのです。

4. 抄紙

    いよいよ紙の繊維を固めて「紙」の形に戻します。真っ白になった繊維が分散した液体を,大きな毛布に薄っすらと広げてドライヤーで乾燥させます。乾いた繊維たちはガッチリ絡み合い(化学でならう「水素結合」で結合し) 一枚の紙となって続いて出てきます。 この操作を「紙を抄く」といいます。700m/分という速さで抄かれた紙は巻き取られ, 直径が2m以上の巨大なトイレットペーパー?が出来上がります。

5. 加工

    直径2mのトイレットペーパーでは誰も使えませんので「リワインダー」という機械で使いやすい形に巻きなおして裁断します。同時に,ダブルロールに巻きなしたり,ミシン目をいれたり,エンボス加工をしたり,カット紙にしたり,さまざまな加工を行います。 加工がすんだ品物は,不良品がないか綿密な検査が行われたのちに,自動で包装され,出荷されます。


白水の処理

    洗浄工程で発生する白く濁った水を「白水」と呼びます。白水中には繊維くず等の浮遊物が含まれているので, 凝集沈殿槽で大きなものは沈殿させ,曝気(バッキ)槽で微生物により分解をしてきれいにします。

焼却による処理

    白水処理の工程で得た沈殿物(汚泥)をスクリュープレスで水分率55%程度にまで脱水したものがパルプスラッジです。 パルプスラッジの一部は焼却炉で高温処理をされ焼却灰になります。

パルプスラッジの再利用

    パルプスラッジは産業廃棄物として焼却処分をしたり埋め立て処分をしたりすることも多いのですが,それはもったいないことです。 そこで肥料や燃料,土壌改良剤などへの有効活用が調査・研究されています。ポピー製紙でも「肥料化」に取り組んでいます。